設問11
関数$ f(x) = {x}^{3}+a{x}^{2}+a{x}+5 $が極値を持つ定数$ a $の範囲を求める。
3次関数と微分の基礎知識
基本事項
- 極値
- 関数の値のグラフが上に凸、または下に凸の範囲内で、${x}$の値を連続的に見ていったとき、増加傾向→減少傾向(または、減少→増加)に切り替わる点の事
- 極大値
- 極値のうち、その区間内で最大値を示すもの(=上に凸の極値)(図.極値と変曲点 参照)
- 極小値
- 極値のうち、その区間内で最小値を示すもの(=下に凸の極値)(図.極値と変曲点 参照)
- 変曲点
- グラフで見たときに、上に凸と下に凸が切り替わる点(図.極値と変曲点 参照)
- 上に凸
- 区間内のグラフ上の2点を直線で結んだとき、その区間のグラフの値が必ず直線の上に現れるような区間(図.上に凸と下に凸の概念参照)
- 下に凸
- 区間内のグラフ上の2点を直線で結んだとき、その区間のグラフの値が必ず直線の下に現れるような区間(図.上に凸と下に凸の概念参照)
1次導関数は原始関数の値の変化を表している。(=傾きが切り替わる=増加→減少、または、減少→増加=極値)
2次導関数は傾きの変化を表している。(傾きの変化が正=xの値が増えたときに常に今よりyの値が増える、傾きの変化が負=xの値が増えたときに常に今よりyの値が減少)
すなわち
$
\begin{equation}
\left \{
\begin{array}{l}
常にf^{\prime\prime}(x) < 0 の区間は上に凸\\
常にf^{\prime\prime}(x) > 0 の区間は下に凸\\
\end{array}
\right.
\end{equation}
$
ここで、極値は$f^{\prime}(x)=0$となるxの周辺で、増加→減少、または、減少→増加の値の変化がある場合のみに存在する。
一般的な3次関数が極値を持つ条件
- 1次導関数$f^{\prime}(x)=0$となる点が2つ存在する
- ⇔ 1次導関数の判別式 $D > 0$ である。
となる。
参考 2次方程式が実数解をもつ条件
一般的な以下の係数が${a},{b},{c}$の2次関数
$
a{x}^{2}+b{x}+c = 0
$
が実数解を保つための条件は、
この2次関数の判別式 $D = {b}^{2} - 4 \cdot{a} \cdot{c}$ が
$
\begin{equation}
\left \{
\begin{array}{l}
D > 0 の時 実数解2つ\\
D = 0 の時 重解を持つ\\
D < 0 の時 解なし\\
\end{array}
\right.
\end{equation}
$
であることが知られている。
ここで、一般的な3次関数
$
f(x) = a{x}^{3}+b{x}^{2}+c (a > 0)
$
に関して、
1次導関数 $f^{\prime}(x) = 3a{x}^{2}+b{x} $
2次導関数 $f^{\prime\prime}(x) = 6a{x}+b{x} $
が存在するとき
$
f^{\prime}(x) = 3a{x}^{2}+b{x} = 3a(x-α)(x-β) = 0
$
すなわち$ f^{\prime}(x) = 0$ が $x = \{ \alpha, \beta \}$ の解をもち、かつ
$f^{\prime\prime}(x) = 6a{x}+b{x} = 6a(x-γ) = 0$
$f^{\prime\prime}(x) = 0$ が $x = γ $ の解をもつときに、
この3次関数は、以下の表のような増減を見せる。
関数$ f(x) = {x}^{3}+a{x}^{2}+a{x}+5 $が極値を持つ定数$ a $の範囲を求めてみる
方針
- 極値を持つ条件から、1次導関数の判別式が実数解を2つ持つ条件を考える
- 判別式に含まれるパラメータ${a}$について、$D>0$となるように${a}$の条件を考える
- それ以外の場合について検証する($D=0, D<0$の場合)
1次導関数と判別式を求める
$
f(x) = {x}^{3}+a{x}^{2}+a{x}+5 \dots (1)
$
${x}$について微分すると
$
f^{\prime}(x) = 3{x}^{2}+2a{x}+a \dots (2)
$
3次関数が極値を持つのは1次微分$f^{\prime}(x)=0$となる${x}$が2つ存在する時である。
(1次導関数(1次微分)$f^{\prime}(x)$は各点での$f(x)$の接線の傾きを表している。接線の傾きが0であるという事は、傾きの変化が+0-になるか、または-0+になっているので極値となる)
すなわち、$f^{\prime}(x)=0$が実数解を2つもつ時である。
判別式
$
\begin{equation}
\begin{array}{l}
D = {(2a)}^{2} - 4 \cdot{3} \cdot{a} = 4{a}^{2} - 12{a} = 4{a}({a} - 3) \\
\end{array}
\end{equation}
$
この判別式が2つの実数解をもつことが、極値を持つ条件となる。
D>0の場合
式$(2)$について判別式を求めると
判別式
$
D = {(2a)}^{2} - 4 \cdot{3} \cdot{a} = 4{a}^{2} - 12{a} = 4{a}({a} - 3)
$
$ \begin{equation} D = 4{a}({a} - 3) \left \{ \begin{array}{l} > 0 の時 実数解2つ\\ = 0 の時 重解を持つ\\ < 0 の時 解なし\\ \end{array} \right. \end{equation} $
$4{a}({a} - 3)>0$を解くと、実数解を2つ持つための$a$の範囲は
$
a < 0, a > 3
$
であることがわかる
問題の解答としてはこの範囲が答えられていればよい。
検証
$4{a}({a} - 3)>0$のグラフを書いてみます。
網掛けされている部分が不等式を満たす範囲です。
${a}$の値で言うと、
$
a < 0, a > 3
$
$ D > 0 $ を満たす $a$ の例:$a = -1$ の時
$a=-1$の時
$ \begin{equation} \begin{array}{l} f(x) &= {x}^{3}+a{x}^{2}+a{x}+5 \\ &= {x}^{3}+{(-1)} \cdot {x}^{2}+{(-1)} \cdot {x}+5 \\ &= {x}^{3}- {x}^{2}-{x}+5 \\ \end{array} \end{equation} $
その他の場合
$D = 0, D < 0 $それぞれの場合について検討してみる。
($D = 0$の時は、1次導関数は1つの実数解(重解)をもつ、$D < 0$の時は、実数解をもたない)
$D=0$の時($a=0, 3$)
$a=0$の時
$ \begin{equation} \begin{array}{l} a=0のとき(1)式は\\ f(x) = {x}^{3}+a{x}^{2}+a{x}+5={x}^{3}+5 \dots (1)\\ 1次導関数: f^{\prime}(x) = 3{x}^{2} \\ 3次関数は1次導関数=0の点で極値を持つが、この場合\\ f^{\prime}(x) = 3{x}^{2} = 0 \\ x = 0 (重解)\\ 2次導関数: f^{\prime\prime}(x) = 6{x} \\ 3次関数は2次導関数=0の点で変曲点を持つ\\ f^{\prime\prime}(x) = 6{x} = 0 \\ x = 0\\ \end{array} \end{equation} $
$x < 0, x > 0$の範囲($x=0$より左と、$x=0$より右)の $f^{\prime}(x), f^{\prime\prime}(x)$ の符号を調べると
$f^{\prime}(x) = 3{x}^{2}$ は、
$
\begin{equation}
\left \{
\begin{array}{l}
x > 0 の範囲で f^{\prime}(x) > 0(増加)\\
x = 0 の時 f^{\prime}(x) = 0\\
x < 0 の範囲で f^{\prime}(x) > 0(増加)\\
\end{array}
\right.
\end{equation}
$
$f^{\prime\prime}(x) = 6{x}$ は、
$
\begin{equation}
\left \{
\begin{array}{l}
x > 0 の範囲で f^{\prime\prime}(x) > 0(下に凸)\\
x = 0 の時 f^{\prime\prime}(x) = 0(変曲点)\\
x < 0 の範囲で f^{\prime\prime}(x) < 0(上に凸)\\
\end{array}
\right.
\end{equation}
$
これらの場合は、増減表やグラフを見るとわかるとおり、$f^{\prime}(x) = 0$ の前後で $f(x)$ の変化が増加→減少、または、減少→増加と切り替わっている部分がなく、
$f^{\prime}(x) = 0$ の前後で、増加→増加になっている。このような場合は極値を持たない。($a=3$の場合も同様)
$D < 0$の時($0 < a < 3$)
$a$の範囲が、$0 < a < 3$となるときは、$D < 0$となり1次導関数$f^{\prime}(x) = 0$は実数解をもたない。
$ \begin{equation} \begin{array}{l} 0 < a < 3のとき(1)式は\\ f(x) = {x}^{3}+a{x}^{2}+a{x}+5={x}^{3}+5\\ \\ 1次導関数: f^{\prime}(x) = 3{x}^{2} + 2ax + a \\ f^{\prime}(x) = 0 となる 実数x は存在しない。(x軸と交わらない)\\ \\ 2次導関数: f^{\prime\prime}(x) = 6{x} + 2a \\ 3次関数は2次導関数=0の点で変曲点を持つ\\ f^{\prime\prime}(x) = 6{x} + 2a = 0 \\ x = -{ \frac{a}{3} } , (0 < a < 3)より、xは実数 \\ \end{array} \end{equation} $
$f^{\prime}(x), f^{\prime\prime}(x)$ の符号を調べると
$f^{\prime}(x) = 3{x}^{2} + 2ax + a$ は、$0 < a < 3$の範囲では
常に $f^{\prime}(x) > 0$ (グラフ書いてみるとわかるよ)
つまりすべての$x$の範囲で単調増加となり、極値を持たない。