====== 🎯 第2回 関数と参照・オーバーロード ====== ---- ===== 🏁 授業目標 ===== * C++の関数の定義・宣言・呼び出しを理解する * const参照(const &)の使い方を理解する * 関数のオーバーロードを使って柔軟な関数設計ができるようにする * ヘッダファイル(.h)とソースファイル(.cpp)の役割を理解する ---- ===== 🧠 関数の基本 ===== C++の関数は、変数や処理をひとまとめにし、複数回呼び出せる便利な構造です。 関数には **宣言(プロトタイプ)** と **定義** があり、main()より上に宣言を書き、下に定義を書くのが一般的です。 書式のイメージ: // 関数の宣言 int add(int a, int b); int main() { int result = add(3, 5); // 呼び出し return 0; } // 関数の定義 int add(int a, int b) { return a + b; } ---- ===== 📁 ヘッダファイルとソースファイルの使い分け ===== C++では、関数を複数のファイルに分けて管理します。これによりプログラムの見通しが良くなり、再利用も容易になります。 **役割の違い:** ^ ファイル ^ 拡張子 ^ 主な役割 ^ | ヘッダファイル | .h または .hpp | 関数やクラスの「宣言」だけを書く | | ソースファイル | .cpp | 関数やクラスの「定義」(実際の処理)を書く | **書き方の例:** // math.h #pragma once int add(int a, int b); int sub(int a, int b); // math.cpp #include "math.h" int add(int a, int b) { return a + b; } int sub(int a, int b) { return a - b; } // main.cpp #include #include "math.h" int main() { std::cout << add(5, 3) << std::endl; std::cout << sub(5, 3) << std::endl; } 💡 **ポイント** * ヘッダには「宣言」、cppには「定義」 * 同じ関数を複数の場所で使いたいときに便利 * `#pragma once` で二重インクルードを防止 ---- ===== 🧩 const参照(const &)の基本 ===== 大きなデータをコピーせずに扱う際に便利です。 **const参照とは、実体のアドレスを受け取り、それを変更せずに利用する方法です。** ^ 種類 ^ 内容 ^ 特徴 ^ | 値渡し | 値をコピー | 安全だが遅い場合もある | | 参照渡し | 実体を直接操作 | 変更される可能性あり | | const参照 | 実体を読み取り専用で参照 | 安全で高速 | **メリット** * コピーが発生しない → 高速 * 値を変更できない → 安全 * 一時オブジェクトも受け取れる void printName(const std::string& name) { std::cout << "Hello, " << name << std::endl; } int main() { std::string s = "Taro"; printName(s); // 実体を渡す printName("Hanako"); // 一時文字列もOK } ---- ===== ⚙️ 関数のオーバーロード ===== 同じ名前の関数を、**引数の数・型・順序の違い**で複数定義できる機能です。 **ポイント** * 戻り値の型だけの違いでは区別できない * 引数リスト(数・型・順序)を変える必要がある int area(int w, int h) { return w * h; } double area(double r) { return 3.14 * r * r; } int main() { std::cout << area(3, 4) << std::endl; // 長方形 std::cout << area(2.5) << std::endl; // 円 } ---- ===== 🧩 応用演習:参照渡しとオーバーロード ===== C++の関数を応用的に扱うための練習問題です。 * 1️⃣ **swapInts(int&, int&)** — 2つの整数を入れ替える関数を作成せよ。 * ポイント:参照渡しを利用して、呼び出し元の値が入れ替わるようにする。 * 2️⃣ **maxValue(const int&, const int&)** — 2つの値のうち大きい方を返す関数を作成せよ。 * const参照を用いて安全に比較する。 * 3️⃣ **printValue** をオーバーロードし、int型・double型・string型に応じて異なる出力を行う関数を定義せよ。 * 例:`printValue(3.14)` → "double型の値: 3.14" * 4️⃣ **calcAverage** をオーバーロードし、(1) int配列、(2) double配列 の平均値を返す関数を作成せよ。 * ポイント:配列と要素数を引数にとる。 * 5️⃣ **appendString(std::string&, const std::string&)** — 2つの文字列を結合し、呼び出し元の文字列に反映させる関数を作成せよ。 * ポイント:第1引数を参照渡しで受け取り、内容を直接変更する。 ---- ===== 🏆 まとめ ===== * 関数は「処理をまとめる箱」 * const参照で安全・高速な引数渡し * オーバーロードで同じ名前の関数を使い分け * 宣言はヘッダ、定義はcppに分けて管理する * 参照渡しで呼び出し元の値を直接変更できる